Quatre Sens Exposition

期間: 2021.2.9-14
場所:日本カメラ博物館JCII クラブ25
遠藤志岐子・兼本玲二・永島明・宝槻稔の4人展。2部屋ある広めの会場にそれぞれがミニ個展風にかなりまとまった作品を展示している。同時に、電子書籍も作成。印刷した写真集も作成して、会場で販売している。活発なSNS(フェースブック)で、かなりの情報量がそれぞれの参加者から発信され、どういう意図で、作品が作成されているかが、事前に知らされていた。
永島明は日本の伝統的な花鳥風月をカメラとデジ加工によって、深みのある世界を作成している。木の枝をカメラで撮影し、後ろに黄色い大きな月を配しているが、月は自分で作成したものという。これが掛け軸になっているが、絵の周りの模様も掛け軸の伸びた垂らした部分も全部一枚のロール紙からできているとのこと。見事な淡いピンクの枝垂れ梅は苦労して探し当てたよう。DMに採用されている鳳凰風の鳥は掛川に白いクジャクが実際にいて、そこに撮りに行っているとのこと。それを奈良の寺の上に配している。ボタンと黒揚羽蝶の絵も実は別々に撮ったものを合わせているし、背景の金箔も色々工夫して編み出した色とのこと。
この展覧会の中心になった宝槻稔はプラチナプリントで、窓枠からの風景をそれぞれに想いを込めて撮影したもの。しかもプラチナプリントをスキャンして、キャンバスロールにプリントして、自分で、キャンバスを木枠に貼ったものも展示。キャンバスの質感が独特の柔らかさを醸し出している。
遠藤志岐子はピンホールカメラで海の波打ち際の波の作り出す造形を、多重露光で一つの画面に仕上げている。実際に使用したカメラも改造したり自作のもので、自作のものは大きなキャンディー入れの缶の子供の目のところに穴を開けて缶の内側にフィルムを取り付けて、撮影している。ピンホールは穴の開け方、フレアーの出方が難しいが、それも検証しながら作っているとのこと。作品は全てモノクロの正方形。寄せる波と引く波で模様が違い、両方が合わさった模様もある。
兼本玲二はモノクロのバイテンのカメラで撮った写真を2浴現像という手法で黒の潰れるところを起こしてプリントしたもので、暗いところから明るいところまで階調が出ていて美しいプリントである。これもプラチナプリント。画用紙風の紙に液を塗って、紫外線露光したとのこと。
それぞれに工夫のある確立した手法で、作品を作成しているので、とても見応えがあり、それぞれの作家が丁寧に意欲的に説明をしてくれた。会場は、観客も絶えず、非常事態宣言下とも思えないような賑やかな展覧会であった。